歯周病と妊娠のお話

1. 歯周病とは?

歯周病とは歯肉炎と歯周炎の総称です。歯の支持構造に影響を及ぼす歯周病菌によって引き起こされ、炎症プロセスと歯根膜の破壊によって、歯の喪失につながる可能性があります。この病気の始まりは歯肉炎で、一般的に口の中の衛生状態の悪化によって細菌が形成する薄い膜(歯垢)の蓄積によって起こります。歯肉の局所的な炎症が特徴で、赤くなり、時には出血することもあります。ここでの治療を怠ると、慢性歯周炎に進行する危険性があります。

このような細菌感染の進行は、歯の喪失だけではなく、細菌の作り出す物質や炎症性の伝達物質が全身疾患を発症・促進する可能性があり、歯周病が心臓病、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、妊娠のよくない転帰と関連しているという報告があります。

2. 妊娠と歯周病

妊娠中は、ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが高濃度となり、血中から歯と歯茎の境目にある溝に到達して、歯周病菌を増殖させてしまうために、約50~70%の女性が歯肉炎を発症し、妊娠していない女性よりも歯周病にかかりやすくなります。

妊娠中の歯周病の有無と早産および/または出生低体重とを関連づけた研究もたくさんあり、歯周病が妊娠の良くない転帰をもたらす理由として、以下の2つの可能性が挙げられています。

  1. 細菌プラーク(歯垢)中の歯周病菌が、血管中に移行し菌血症により胎児に直接影響を及ぼす。
  2. 歯周ポケット内の炎症領域で分泌される炎症性の伝達物質が、胎児胎盤系に影響を与え、炎症反応を引き起こす。

Padilla-Caceres Tらは、妊婦の歯周病と早産および低出生体重児を出産するリスクとの関連を2021年11月までに報告した研究を対象にシステマティック・レビューを行った結果、歯周病のある妊婦は、早産と出生低体重児を出産するリスクが歯周病のない妊婦と比べて2~3倍高いと結論しています1)

システマティック・レビューとは、明確にされた疑問(ここでは、歯周病が妊娠の良くない転帰(早産や出生低体重)に影響するか?)に対し、系統的で明確な方法を用いて、適切な研究を同定、選択、評価を行なうことで作成するレビューのことです。

妊娠前及び妊娠中の定期的な歯科検診は、歯周病の早期発見につながり、早産および出生低体重児の出産を減少させることに役立つ大切な検診です。忘れずに受診しましょう。

出典

  1. Padilla-Caceres T, Arbildo-Vega HI, Caballero-Apaza L, Cruzado-Oliva F, Mamani-Cori V, Cervantes-Alagon S, et al. Association between the risk of preterm birth and low birth weight with periodontal disease in pregnant women: an umbrella review. Dent J (Basel). 2023;11(3):74