妊娠の1ヶ月以上前から必要な栄養素「葉酸」のお話

日本人女性にとって摂取量が不足しがちなビタミンとして、葉酸が挙げられます。葉酸は、胎児の先天異常である神経管閉鎖障害のリスクをへらすため、妊娠前から必要な量を摂取していることが大切です。

神経管閉鎖障害とは、胎児の神経の管ができる時(受胎後およそ28日)にうまくつながらない先天性異常で、無脳症・二分脊椎・髄膜瘤などがあります。多くの場合、妊娠を知るのは神経管ができる時期よりも遅いため、妊娠に気づく前の段階から葉酸を必要な量摂取していることが大切です。この時期に葉酸のサプリメントを摂取することにより、神経管閉鎖障害のリスクが低減することが数多くの研究で明らかになっています。神経管閉鎖障害のリスクをへらすためには、通常の食事に加えて、サプリメントや食品中に強化される葉酸として400μg/日摂取することが望まれると日本人の食事摂取基準で示されています(表1)。

サプリメントや食品中で強化される葉酸(合成葉酸)と食品中に存在する葉酸(食事性葉酸)は存在する形が違い、食事性葉酸は合成葉酸に比べ生体利用率が低いため、生体利用率の高い合成葉酸として摂取することが推奨されています。

妊娠経験のない女性における神経管閉鎖障害予防のための葉酸摂取推奨の認知度は、15~19歳で22.3%、20~24歳で24.8%、25~29 歳で32.0%、30~34歳で34.8%、35~39歳で35.8%であり、十分に広まっていない現状が報告されています。また、日本国内における神経管閉鎖障害の発症率は1万出生(死産を含む)当たり6件程度で推移しており、減少傾向は認められていません。

したがって、意識的に葉酸のサプリメントや葉酸を添加された食品として摂取することが大切です。ただし、たくさん摂れば良いというものではありません。過剰摂取により、健康障害を引き起こす可能性も報告されていますので、合成葉酸として1,000μg/日をこえないように摂取しましょう。また、神経管閉鎖障害は葉酸不足だけが原因で起こるものではありません。葉酸のサプリメントを摂取しただけで、必ず予防できるというわけではありません。さらに、サプリメントを摂取したからといって、野菜などの食事性葉酸を含む食品を摂取しなくてもよいということではありません。食事とサプリメント両方から上手に葉酸を摂取しましょう。

葉酸を多く含む食品を表2に紹介します。

出典

「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針 ~妊娠前から、健康なからだづくりを~ 解説要領」令和3年3月(厚生労働省, https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/a29a9bee-4d29-482d-a63b-5f9cb8ea0aa2/aaaf2a82/20230401_policies_boshihoken_shokuji_02.pdf)P11,P12をもとに株式会社カネカ作成